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第7回日本腫瘍循環器学会学術集会
会長 南 博信
神戸大学大学院医学研究科 腫瘍・血液内科 教授
第7回日本腫瘍循環器学会学術集会は「知の融合から創造へ」をテーマとして開催します。がん治療の成績を飛躍的に向上させた分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬の使用が拡大しています。一方、これらの薬物は循環器系の合併症をおこすため腫瘍循環器学の重要性が増しています。これらの問題解決のため、研究成果である知を融合し新たな治療開発という創造へ繫げるべく「知の融合から創造へ」というテーマとしました。
2022年に欧州心臓病学会から腫瘍循環器のガイドラインが発刊されました。膨大なガイドライですが、記述内容は質の高いエビデンスに裏付けられたものは少ないことが分かります。本学会と日本臨床腫瘍学会は2023 年にMindsの手法によりエビデンスに基づいたガイドラインを作成しましたが、取り上げたクリニカルクエスチョンが少なく、この領域のエビデンスが足りないことが分かります。エビデンスを創出する必要があります。
今年は海外からお二人の講師を招聘します。免疫チェックポイント阻害薬の使用が拡大し続けていますので、副作用としての心筋炎も確実に増えます。免疫関連心筋炎を報告し精力的に研究しているMoslehi先生に講演いただき、引き続きシンポジウム「irAE心筋炎の理解と対策」で掘り下げます。もう一人は、今年のGlobal Cardio-Oncology Summit (GCOS)を開催するBlaes先生をお呼びし世界の腫瘍循環器学の現状をお話しいただき、本学会の発展に繋がればと思います。Blaes先生はOncologistであり日本の腫瘍内科医がもっとこの領域に興味をもってもらうことも期待しています。ぜひお二人の海外招聘講師と交流していただきたいと思います。
腫瘍循環器のエビデンスを創出するためには臨床試験体制を構築しなければなりません。そのためには各施設で腫瘍循環器の実地診療を確立する必要があります。どのように腫瘍循環器診療体制を構築したらよいのか困っている医療機関の方も多いと思います。そこで「先例に学ぶ腫瘍循環器診療の立ち上げと運用」、「腫瘍循環器領域における多職種連携~こうやって作り上げてきました~」の二つのシンポジウムを企画しましたので参考になるものと思います。
第7回日本腫瘍循環器学会は討議がしやすい完全現地開催です。多くの方に活発にご議論いただき、エビデンスの創出に繫げていただければと思います。姫路でお待ちしています。